再エネ発電賦課金ってなあに?

毎月の電気料金や電気利用量が記載されている検針票に、「再エネ賦課金」という項目があるのを見たことはありますでしょうか。これはいったい何の料金なのか、どうやって計算されているのか、知らないという人も少なくありません。
本記事では、意外と知られていない「再エネ賦課金」について、分かりやすく説明していきます。

再エネ発電賦課金とは

「再エネ発電賦課金」とは、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略です。
2012年7月、国は太陽光発電などの「再生可能エネルギー」の導入拡大を目的とした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を制定しました。これは、各電力会社に再生可能エネルギーで発電した電気を買い取ることを義務付けるものです。
この電力買い取りのために必要な資金を、電気を利用している国民全員から集める名目として、「再エネ発電賦課金」が電気料金に上乗せされているのです。

2022年度の単価金額が決定

2022年度の再エネ発電賦課金の単価は、1kWhにつき3円45銭。この数字は、年度ごとに経済産業大臣が決定しています。全国どの電力会社でも一律の単価であり、2022年5月~2023年4月分の電気料金に関わってくるものです。
再エネ発電賦課金の単価は2012年の導入当時から年々値上がりしており、2022年度は前年度よりも0.09円(約3%)値上げされています。

そもそも再エネとは

「再エネ」は、正式名称「再生可能エネルギー」の略語です。
再生可能エネルギーは、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「温室効果ガスを発生させない」という3つの特徴を持っています。
日本の発電量の約7割を占める火力発電では、化石燃料を用いているのが現状です。しかし、これらの資源は有限である上、環境に有害な温室効果ガスを発生させます。
一方で再生可能エネルギーは、太陽光や風力などといった、自然界に枯渇することなく存在するエネルギーです。温室効果ガスも発生しないため、世界的に拡大のための取り組みがされています。

再生可能エネルギーの種類と特徴

日本でもっともポピュラーな再生可能エネルギーは、「太陽光発電」。太陽の光をシリコン半導体に当てると、電気が発生する性質を利用した発電方法です。
太陽光パネルは住宅の屋根などにも設置が可能なため、大規模発電のように場所を選ばなくてよいというメリットがある一方、発電量が天候に左右されることや、導入コストがかかるなどのデメリットがあります。
電力調査統計などによると、太陽光発電は2021年の日本の発電電力量の9.3%を占めています。
再生可能エネルギーとしては太陽光発電に次いで二番目に多いのが「水力発電」です。
水が高いところから低いところに流れる際のエネルギーを利用した発電方法です。ダムなどの大規模施設から、河川や農業用水といった小規模のものまで、様々な種類があります。電気エネルギー変換効率が高く、水資源の豊富な日本においては古くから用いられてきた発電方法です。
一度発電施設を作ってしまえば、比較的安定して電力を供給できる一方で、莫大な初期費用がかかってしまうというデメリットもあります。
水力発電は、2021年の日本の発電電力量の7.8%を占めています。
「風力発電」は、ブレードと呼ばれる羽に風が当たり、回転するエネルギーを利用した発電方法です。
水力発電同様に、エネルギー変換効率が高く、夜間でも発電可能です。ただし、風の強さによっては発電できないため、安定供給できないという課題が残ります。
ひと昔前までは山や海沿いに発電装置を設置する「陸型風力発電」が一般的でした。一方、近年実用化された海や湖の上に設置する「洋上風力発電」は、海に囲まれた日本に適しているため、普及が期待されています。
風力発電は、2021年の日本の発電電力量の0.9%を占めています。
「地熱発電」は、地下のマグマの熱エネルギーを利用した発電方法です。火山近くの地下で熱せられた水蒸気などでタービン発電機を回し、発電する方法が一般的とされています。
世界有数の火山大国である日本は、地熱資源が豊富なことで知られていますが、開発コストが高いため、広く実用化はされていません。
地熱発電は、2021年の日本の発電電力量の0.3%を占めています。
「バイオマス発電」は、動植物などの生物から生まれた有機性の資源を燃やすなどして発電する仕組みです。木材や可燃物、廃油を燃焼する方法や、生ごみを発酵させ発生したガスによって発電する方法などがあります。
火力発電同様、これらの資源を燃やす際にも二酸化炭素が発生しますが、バイオマス発電はCO2の増加に影響を与えない「カーボンニュートラル」という考え方に立っています。「カーボンニュートラル」は、植物が成長する過程では光合成によりCO2が必要になるため、結果的に燃焼をしても元のCO2の量に影響を与えない、という考え方です。
国内で手に入る資源を利用するため、安定供給が可能な発電方法として注目を集めています。一方、材料となる資源は各地に点在しているため、収集などにかかるコストが高い点がデメリットです。
バイオマス発電は、2021年の日本の発電電力量の4.1%を占めています。

再生可能エネルギーを普及させる理由

日本において再生可能エネルギーの普及が進められている理由は、大きく分けて二つあります。
一つは、地球温暖化対策として世界的に推し進められている、温室効果ガスの削減です。
政府は2021年4月の「気候変動サミット」にて、温室効果ガスの排出を2030年までに2013年の水準より46%削減する、という目標を発表しました。
そして、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することを目標に定めています(カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を等しくすることで、実質的な排出量をゼロにする状態のこと)。
日本だけでなく、温室効果ガスの削減は世界共通の課題として、各国の首脳が削減の数値目標を掲げています。温暖化を抑制し、地球の未来を守るために、人類一丸となって取り組むべき課題と言えるでしょう。
そしてもう一つの理由が、日本のエネルギー自給率の向上のためです。2019年度の日本のエネルギー自給率は12.1%と、先進国の中でも低い水準となっています。
日本の発電量における火力発電の割合は、全体の約7割。しかし、石油や石炭などの資源がない日本では、そのほとんどを輸入に頼っているのが現状です。
このままでは価格変動やその時々の情勢により、供給が不安定になるというリスクが存在します。再生可能エネルギーによる発電量が向上すれば、おのずと日本のエネルギー自給率の向上に繋がるため、大きなメリットがあると言えるでしょう。

電気代の内訳

ここまで「再エネ発電賦課金」について、様々な説明をしてきました。しかし、これらは月々の電気代にどういった影響を与えるのでしょうか。
ここからは、電気代の内訳や「再エネ発電賦課金」の確認方法などをご紹介していきます。

使っている電気分だけじゃない!電気代の内訳とは

毎月の電気代は、契約容量によって決定される「基本料金」、消費した電力に合わせて変動する「電力量料金」、そして「再エネ発電賦課金」を足したものです。
「基本料金」は、利用できるアンペア数が大きいプランほど高くなります。これは契約を変更しない限りは一定の金額となり、変動することはありません。
「電力量料金」は「電力量の料金単価」×「1か月の使用電力量」に、「燃料費調整単価」×「1ヶ月の使用電力量」を加算もしくは減算したものです。燃料費調整単価は、原油や天然ガスなどの価格変動によって毎月決定され、価格が安ければ減算、高ければ加算されます。
そして「再エネ賦課金」は、毎年経済産業大臣によって決定される「再エネ賦課金単価」×「電気使用量」で計算できます。

自分たちが払っている再エネ賦課金の確認方法

再エネ賦課金を確認する方法は、主に二つ。
毎月送られてくる紙の検針票(電気ご使用量のお知らせ)を確認するか、インターネットからWeb検針票をチェックするかの二択です。
予測したい場合は、毎月の電力使用量がある程度分かっていれば、上記の「再エネ賦課金単価(3円45銭)×電気使用量」で計算することもできます。
ただし、月の電気使用量が多いほど再エネ賦課金は高くなるため、詳細は検針票で確認することをオススメします。

再エネ発電賦課金が今後電気代に及ぼす影響とは…

2014年から導入された「再エネ賦課金」ですが、実は毎年値上がりしています。これは買い取り対象として認定した太陽光発電事業者の稼働が増えたから、つまり再生可能エネルギーが普及している証でもあるのです。
2009年からスタートした再生可能エネルギーの買取期間は、最大20年と定められています。それ以降は徐々に買取期限が切れるため、再エネ賦課金も2030年頃をピークに、値下がりすると予測されています。
つまり、何もせず電力会社由来の電力のみを消費する場合、2030年頃までは電気代は上がり続けると予想されるのです。

電気代高騰への対策方法

再エネ発電賦課金は、未来の地球のための大切な取組みです。しかし、2030年までは値上がりが続くと思われます。
電気代を可能な限り抑えるために、私たちが一消費者としてとれる対策としては、大きく3つあります。
一つは徹底して節電すること。こまめに電気を消すのはもちろんのこと、現在使用している家電が古ければ、省エネ家電に買い替えることも効果的です。
そしてもう一つは、今契約している料金プランを見直すこと。各電力会社では一人暮らしやファミリー向け等、ライフスタイルに合わせた料金プランを用意しています。場合によっては電力会社を変更することも検討してみても良いかもしれません。
そして最後の一つは、電気を「作る側」に回る、つまり太陽光パネルなどを設置し、太陽光発電を導入することです。
自宅で発電した電力に関しては、そのまま自宅で使用することも、売却することも可能なうえ、再エネ発電賦課金の削減となりますので、長い目で見れば大きなコストダウンにも繋がるでしょう。
年々高くなる電気代に頭を悩ませている方は少なくありません。しかし、これをキッカケに、値上げに備えた対策をしっかりと立てれば、将来的に大きなコスト削減になるのではないでしょうか。

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参考:

https://www.kepco.co.jp/sp/energy_supply/energy/newenergy/about/learn/qa2.html#:~:text=%E3%80%8C%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E7%99%BA%E9%9B%BB%E4%BF%83%E9%80%B2,%E3%81%94%E8%B2%A0%E6%8B%85%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%8F%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82 https://looop-denki.com/home/denkinavi/energy/electricity-en/renewableenergylevy/ https://www.nittoh-e.co.jp/special/hapimaga/?p=651 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2020_1.html https://www.egmkt.co.jp/column/consumer/20210730_EG_146.html

▼太陽光発電

https://www.chuden.co.jp/energy/ene_about/electric/kids_denki/tsukuru/tsu_solar/

▼発電量グラフ

https://www.isep.or.jp/archives/library/13774#:~:text=2021%E5%B9%B4(%E6%9A%A6%E5%B9%B4)%E3%81%AE%E5%A4%AA%E9%99%BD,%E3%81%AE3.2%25%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A2%97%E5%8A%A0%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

▼風力発電

https://earthene.com/media/164

▼バイオマス

https://www.sbenergy.jp/study/illust/biomass/#:~:text=%E3%80%8C%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E5%8B%95%E6%A4%8D%E7%89%A9,%E3%81%A7%E7%99%BA%E9%9B%BB%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

▼温室効果ガスの削減など

https://earthene.com/media/41

▼電気代の内訳

https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-4619/#:~:text=%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%BB%A3%E3%81%AE%E5%86%85%E8%A8%B3%E3%81%A8,%E3%82%92%E5%90%88%E8%A8%88%E3%81%97%E3%81%9F%E9%87%91%E9%A1%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82 https://www.eco-st.co.jp/28037/ https://taiyoukou-secchi.com/column/cost-reduction/saienehukakin/

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