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電気料金の約3割を占めている!託送料金とは?送配電網設備電の仕組みと、再生可能エネルギーへの影響

2016年4月1日より、それまで特定の事業者が独占していた電力事業において、電気の小売業への参入が全面自由化されました。
個人・法人に関わらず、低圧利用であれば全ての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになり、事業者間の競争が活発化する流れとなったのです。
その結果、料金の値下げ競争も進みましたが、電気料金の値下げには一定の限界があります。その原因となるのが、電力会社が支払う「託送料金」です。
「託送料金」は、私たち消費者が直接支払うお金ではないため、あまりピンとこない方もいるかもしれません。
この記事では、「託送料金って何?」という基礎知識から、ソーラーパネルなどの再生可能エネルギーへの影響など、分かりやすく解説していきます。

電力会社が支払っている託送料金とは

託送料金とは、電力を安全に届けるために必要な送配電ネットワークの利用料金のことです。送配電ネットワークとは、電線や電柱、鉄塔、変電所など、あらゆるものを含みます。
託送料金は直接消費者が電力会社などに負担するものとは異なるため、仕組みを想像しづらいかもしれません。ここでは、託送料金の仕組みについて、詳しく解説していきます。

託送料金は、誰が誰に支払うものなの?

電気事業者は、電力の自由化に伴い、「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」の3つに区分されました。
自由化以前から電力事業を営んでいた会社はもちろんのこと、新電力会社も上記3つのいずれかに属することになります。
発電した電気は、そのまま直接消費者のもとに送られるわけではありません。「発電事業者」が発電した電気は、まず「小売電気事業者」に売られます。その際、「小売電気事業者」は発電料を支払います。
こうして小売電気事業者が購入した電力は、「送配電事業者」の送配電ネットワークを通じ、消費者のもとへ送られます。消費者は、「小売電気事業者」に電気料金を支払います。
その電気料金の中から、「小売電気事業者」は「送配電事業者」へ送配電ネットワークの使用量を支払います。この時のお金が「託送料金」なのです。

託送料金はどのように決定されるの?

送配電業者は、全て経済産業大臣から許可を得て事業を営んでいます。
託送料金も、経済産業省の認可によって決まっています。価格は地域ごとに異なり、一般送配電事業者(大手電力会社10社)が出した申請に基づき算定し、「託送供給等約款」として認可されました。
このように、国の省庁が間に入ることで、小売電気事業者が負担する送配電ネットワークの利用料金と、消費者が負担する送電コストが一致し、公平性と透明性が確保されています。

託送料金には、何が含まれているの?

託送料金に含まれているのは、以下の3点です。

  • ・送配電ネットワークの利用料
  • ・使用済燃料再処理等既発電費相当額
  • ・電源開発促進税

・送配電ネットワークの利用料
送配電ネットワークは、電線や電柱、鉄塔、変電所など、あらゆるものを含みます。これらの維持管理費用(修繕費・人件費を含む)を賄うため、消費者が負担する電気料金の中にあらかじめ含まれています。
・使用済燃料再処理等既発電費相当額
「使用済燃料再処理等既発電費相当額」とは、原子力発電の使用に伴い発生した、使用済み核燃料の処理や処分を行うための費用のことです。「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律」において、託送料金の一部として徴収することが義務付けられています。
「使用済燃料再処理等既発電費相当額」は、地域ごとに差があります。これは、原子力発電所への依存度などが影響しています。電子力発電所のない沖縄電力エリアは0円、原子力発電の依存度の高い関西電力は単価0.16円(kwh)など、変動があります。
・電源開発促進税
「電源開発促進税」とは、水力発電や地熱発電、そして原子力発電施設の設置や安全確保のための税金です。この税金は「送配電業者」が負担しますが、電気料金の中に含まれているため、実際は消費者が負担していることになります。

電気料金の値上がりとの関係は?

近年、家庭や商店向けの低圧電力の料金の値上がりが続いています。これには、燃料費の高騰などに加えて、託送料金も大きく関わっています。
ここでは、電気料金の内訳と共に、電気料金と託送料金との関係性を解説していきます。

地域別の託送料金の平均単価

2021年10月時点で、エリア別の1kwhあたりの託送料金の単価平均は、以下の通りです。

北海道電力 9.63円
東北電力 10.75円
東京電力 9.46円
中部電力 9.88円
北陸電力 8.58円
関西電力 8.65円
中国電力 9.11円
四国電力 9.67円
九州電力 9.19円
沖縄電力 10.92円

自分が負担している託送料金を知りたい場合は、「お住まいのエリアの託送料金の平均単価×1カ月の電気使用量」で算出することができます。
東京電力エリアで、1カ月の電気使用量が350kwhの際、託送料金は「350kwh×9.46円=3,311円」となります。

電気料金の内訳

託送料金は、経済産業省の取り決めよって決定されます。
電気料金の中で、発電事業者に支払う燃料費・購入電力は50~60%を占めます。一方、託送料金が占める割合はそれに次ぐ25~30%、残り10~25%は小売電気事業者の運営費(人件費・営業費など)となります。
託送料金が値上がりをすると、それに伴って電気料金も値上がりする仕組みです。
近年、託送料金の値上がりが続いているのは、定電圧向けの個人宅や商店に配電するコストが高く、電線などの老朽化も進んでいるからとされています。
託送料金は経済産業省によって決定されるため、電力自由化が導入された後も、なかなか電気料金の値下げができないのが実情となっています。
このような料金形式を「総括原価方式」と言います。

「総括原価方式」とは?

電気料金など、公共性の高いサービスでは、この「総括原価方式」が採用されています。
「総括原価方式」は、「安定供給するために必要な費用」+「利潤」を加えた額を電気料金の原価とし、原価を回収できるように料金を決めるという方法です。
この方法ですと、収入と支出が等しくなるように設定されているため赤字の心配がなく、公益性の高い事業の存続をサポートします。
一方で、赤字の心配がないため、設備投資などの計画は立てやすいですが、コスト削減などの努力が行われにくいという背景があります。

再生可能エネルギーへの影響

電力自由化がスタートし、消費者は小売電気事業者を自由に選べるようになりました。
低価格を売りにする事業者や、環境にやさしい再生可能エネルギーを活用した電力会社を選ぶこともできます。
国は、この再生可能エネルギーの普及を後押ししていますが、実は託送料金そのものがそれを妨げるという意見が出ています。
再生可能エネルギーは、火力発電や原子力発電に比べて圧倒的に発電コストがかかります。しかし技術の革新により、日々改良がなされ、この発電コストは徐々に下がってきています。
しかし、再生可能エネルギー向けの送配電設備の導入には新たなコストがかかる上、一般家庭向けである定電圧の託送料金の高さにより、電気料金の値上げが止まらず、再生可能エネルギーの一般家庭での普及を妨げる結果となっています。

託送料金はこれからどうなる?負担見直しも

2020年4月からは送配電部門を発電会社から別会社化する「発送電分離」が義務付けられ、送配電部門の中立性の確保が進みました。
東京電力株式会社のケースでいうと、燃料・火力発電事業を営む「東京電力フュエル&パワー株式会社」、一般送配電事業を担う「東京電力パワーグリッド株式会社」、小売電気事業者としての「東京電力エナジーパートナー株式会社」の3つに分社化する形となったのです。
しかし、電力自由化後も、自由化前と同じように送配電業者は一般電力会社が担当しており、電気料金は「総括原価方式」にのっとって決められています。
こうした事態を受け、2023年から新たな託送料金制度である「レベニューキャップ制度」が導入されることが決まりました。
レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者が国の指針に基づいた「事業計画」を提出。その実施に必要な費用や「収入上限(=レベニューキャップ)」を算定し、国から審査を受けるというものです。
この制度が導入されると、企業努力により削減したコストは事業者の利益となるため、より一層のコスト削減が進むとされています。
レベニューキャップ制度導入後の各社の託送料金は現時点ではまだ確定されていません。しかし、月々の電気代の約3割を占める託送料金の見直しがされると、家計に大きな営業があることは間違いありません。
今後も託送料金の動向について、注視していく必要があります。

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